「逃げるは恥だが役に立つ」を観て

何年かぶりにドラマにはまった。

しかも2本。

 

ひとつは「真田丸」。

第1話の面白さに衝撃をうけ、

途中、昌幸の死で気持ちが離れたけど

なんとか持ち直して最後まで見れた。

最高に盛り上がっていた真夏に

沼田での展覧会とか

岩櫃城跡を見に行ったのが

ほんとに楽しかった。

要所要所の笑いが

「なぜこのタイミング⁉︎」というところで

はさまっていて

シリアスになりすぎず

肩の力を抜いて大河を見れた。

 

もうひとつは「逃げるは恥だが役に立つ」。

これは、星野源の「平匡」に完全にはまり

第9話までのヤキモキ恋愛ドラマ部分で

思いっきり心をつかまれ

久しぶりに1週間が待ち遠しいという

子供の頃の感覚を味わえた。

 

だけど、最後の2話は、

「結婚とは?夫婦とは?」というテーマに

変わったので、

単純にキュンキュンを楽しみにしていた

私にとっては、

全く別のドラマを見ているみたいだった。

そのテーマも興味深いけど

今は平匡さんの一挙手一投足を

見ていたいだけの気分だったので

その点では残念。

その2回は主人公のみくりにムカついて、

これまでのドラマとは違った感じをうけた。

普通は主人公は主人公なので、

決して嫌われることはなく

どんなに変人でも、主人公は許され、

悪いといえば周りの人。

主人公はいつも応援されて共感されて、

というカタチだったように思うけど、

最後の2話のみくりは

ムカついてまったく共感できなかった。

このドラマは9話までの主役はみくりで、

10話以降の主役は平匡だったと思う。

いや、逆か、

9話までが平匡の成長記録で

10話以降がみくりの闇の解放記録なのかも。

9話まではファンタジー要素満載で

一見、契約結婚こそが理想の夫婦のカタチとまで思わせたけど、

10話以降はいきなり現実のリアルな生活感に変わって、

コメディーで楽しくちゃかしていた平匡の闇は

今思うと軽傷で、

最後の2話は

むしろみくりの闇の深さが前面に出て

これを解放するために平匡を成長させたのかと

思ったほど。

平匡は一貫して平匡だったけど、

みくりは家政婦からただの恋人になると

こんなにも変わるのかというほどの

豹変ぶり。

よく平匡が嫌にならなかったなと思う。

はじめての恋愛だったからかな。

どこまでも一途に頑張る平匡に

本当に救われた。

 

 前半部では、みくりは

不器用で世間知らずの平匡さんを前に

自分の方が上と見ていたのかも。 

だからこそ辛くても微笑んで

色々手を差し伸べられた。

それが平匡さんが成長してくると、

自分の立場が危ぶまれ

足元がグラグラ。

平匡の成長により気持ちが通じ合う。

なのに、幸せを求めていたはずが、

幸せになると自分の価値がなくなる。

いつまでも平匡さんより

上でなくちゃならないのに!

 

なので、商店街のダメダメ軍団に

居場所を求めたのかと思う。

 

「なんとかしてあげなくちゃ!」

「もっと良くできるはず!」

「アドバイスしたい!」

で生きてきた人にとって

いつも必要なのは

自分が助けなきゃいけない人=ダメな人達。

 

就活がうまくいかなかったのもその理由で、

「選ばれる」「必要とされる」ことを求めたということは

それはみくりにとっては

ダメな会社、ダメな職場でないと不可能。

さすがに就活ではそんなところあえて選ばないだろうから、落ち続けた。

(それはそれで良かったのでは。もし受かってたら身を滅ぼすまで奉仕しそう)

 

でも、それじゃいつまでたっても幸せにはなれない。

不幸なひと探しゲームが続いちゃう。

でも、そうやって生きてきたから

簡単には手放せない闇だったのかな。

 

それとプライドの高さ。

忙しくて家事がおろそかになると

相手がこの状態を見て

どう思ってるのかが本当に気になる。

だから、みくりが平匡さんに言われて

逆ギレするのもわかる。

平匡さんは1ミリも責めていないのに。

自分だけが自分を責めていることにも

気づかないで。

みくりは今まで人にお願いを

したことがなかったのではなかろうか。

気が利いて頭が良い人は

頼むくらいなら自分でやる。

仕事としてなら完璧にできる家事が、

無償になり、しかも忙しくなり

まともにできなくなった時

優しくされるのは辛いかも。

責めてくれた方が気が楽だもんね。

お惣菜の夕飯も

申し訳ない気持ちでいっぱいだったところに

たまたま平匡さんがミスしたから

八つ当たりだよね。

でも平匡は絶対に責めない。

平匡がそれをしないからこそ、

みくりは自分の闇と向き合うしかなくなって

なにひとつ満足にできない状態でも

平匡が受け入れてくれてることに気づけた。

(青空市、頑張れ!ではなく、楽しみにしてます。というセリフが最高に良かった)

 

1番大事なのは、

「この人と一緒に生きていきたい」

という強い意思。

 その為にはなにをすればいいか?

から始めれば、

プライドも闇も超えていける。

 

この2人はそれぞれ別の人じゃ絶対に付き合っていけない個性の強いカップルだから、

出逢えて良かったね、で終わるのだが、

みくりも言ってた

「普通のカップル」

「普通の夫婦」

「普通の家庭」

っていうのは、本当はどこにも無くて

それぞれが個性的な関係。

流れによって形を変えていけるように

話し合ったり、時には相手に合わせたり

合わせてもらったりして、

やっていくしかないんだなぁと

気付かされたドラマだった。